本学学生の学修状況(2021年度)について
浦和大学IR委員会
浦和大学IR委員会
本学学生の学修状況(学修時間及び学修行動の実態)について、IR委員会は、2年ごとに過去3回(2014年度、2016年度、2018年度)調査・分析を行った。そして前回(2020年度)は、コロナ禍のために対面でのアンケートの実施が困難ということで、これまでの経過分析(傾向分析)を行った。しかし、学生がオンラインを使ったコミュニケーションに慣れてきたこともあり、今回、グーグルフォームを使ったアンケートを実施することにした。コロナ禍の中で本学学生の学修時間及び学修行動が、コロナ以前と比べ、どう変化したのか、また変化しなかったのか、興味ある結果が出たので報告する。
今回の調査の実施概要は、以下の通りであった。
質問はこれまでと同じで全部で14問であった。内容的には大きく「授業と密接な学修」に関する質問(問1~問9)と「それ以外の学修」に関する質問(問10~問14)に分かれる。まず、「授業と密接な学修」の質問と回答から見ていこう。
これは最も基本的な学修時間である授業時間についての質問である。回答の半数以上が週10コマ以上と回答している。これまでも本学学生は授業を受けることに積極的な姿勢をもっていたが、コロナ禍で通学時間がなくなったせいか、以前より受講科目数は増えている。
授業を受けるといっても、出席率が低いと問題である。それゆえ、これはいわば問1の充実度を問う質問である。90%近い学生が80%以上の出席率と回答している。本学は出席管理に厳しいとはいえ、また回答者は真面目な学生が多いとはいえ、出席率は極めて高い。
この質問はもともと欠席の原因を探り、それを解消して出席率を高めようと意図したものである。毎回半数近くが「朝寝坊」を挙げていたが、今回は通学の機会が少ないこともあって、多かったのは「その他」である。これは家庭での諸事情ではないかと推測される。もちろん「朝寝坊」という回答も少なくなかったが、これは青春期に特有の生活習慣に根差すものであって、変えるのは難しいかも知れない。
シラバスは授業の目標や計画を示したものであり、予習・復習のガイドになるものである。これを読んでおくことは授業を受ける前提となる。ところが、今回も50%程度の学生が「半分程度読んでいる」から「ほとんど読んでいない」をマークしている。まだまだ学生に対しシラバスの重要性を強調する必要があるといえる。
教科書を読むことが予習・復習の基本であり、授業の理解を高めるものであることは言うまでもない。以前は「すべて読んでいる」と「だいたい読んでいる」をマークした学生は合せて40%程度であったが、今回は65%程度である。オンライン授業で教科書を読む必要性が大きくなったせいか、数字は大幅にアップしている。
これは前問とほぼ同じ質問であるが、ここでも数字は改善している。以前は「すべて読んでいる」と「だいたい読んでいる」をマークした学生は30%に満たなかったが、今回は半数以上である。オンライン授業では参考文献なども読む必要性を感じているのであろう。
〇小括:以上の回答結果をまとめると、本学学生はこれまで通り「授業にはよく出ている」だけでなく、これまで以上に「授業の理解を深める努力をするようになった」といえるだろう。好ましいことである。
この質問の回答は上記の小括を裏づけるものである。すなわち、今回は「ほとんどの科目で予習・復習をしている」と「だいたいの科目で予習・復習をしている」をマークした学生は合わせて5%程度増えており、逆に「あまり予習・復習をしていない」と「ほとんどの科目で予習・復習をしていない」と回答した学生が15%程度減っている。以前は、本学学生の多くは「授業に出て、先生の話を聞いて、済み」であったが、今回は先生の話を聞いて、「理解する努力もしている」といえるだろう。
これは最近の学生の勉強方法を尋ねる質問である。従来50%程度の学生が「インターネットの情報」を挙げていた。この割合は次第に増加傾向にあったが、今回は80%程度の学生が「インターネットの情報」を挙げている。課題を仕上げるのに、図書館で文献を探すという方法は、インターネットで情報を検索するという方法に、確実に取って代わられている。
授業でよく分からないと思った時や授業の内容をもっと勉強したいと思った時、オフィスアワーを利用することは効果的である。しかし、徐々に改善しているとはいえ、今回も70%程度の学生がオフィスアワーの利用は「1~2回」ないし「ゼロ回」と回答している。ただ、本学では教員に学生への個人面談を義務付けているので、これは教員の研究室を訪ねていないということではない。それにしても、コロナ禍もあって、授業について質問に行かないという傾向は続いているといえる。
これもオフィスアワーを利用しない原因を探り、その解消によってオフィスアワーの利用を促そうという意図をもった質問である。今回も50%程度の学生が「オフィスアワーをよく知らないので」と回答していて、圧倒的に多い回答割合である。高校にオフィスアワーがないせいかも知れないが、オフィスアワーのことを今後一層説明するか、あるいはインターネットなどを使った質問時間に変えるか、いずれにせよ改善が必要な数字である。
次に、調査の後半部分、つまり「授業以外の学修」について尋ねた質問と回答について、報告しよう。
今回「ほとんどしない」と回答した学生は10%程度で、20%程度減少している。逆に「3~5時間」ないし「5~7時間」と回答した学生は65%程度で、15%程度増えている。これまで多くの学生は1日1時間も勉強していなかったが、今回1日1時間は勉強している。コロナ禍の良効果というべき数字だが、これが習慣として根付かせることが課題となる。
今回も50%以上が「2時間ないし3時間程度」と回答しており、20%程度が「4時間ないし5時間以上」と答えている。数字はこれまでとほぼ同じであり、単位取得に対する熱意は維持されていると感じられる。
これまで通り85%程度の学生が「1~2時間程度」ないし「ほとんどしない」と回答している。しかし、これもこれまでと同様、「8~10時間」や「11時間以上」と回答した学生が10%程度いる。少数であるが、目的意識を持って学修している学生は確かにいるのである。
コロナ禍のせいであろうが、60%程度が「自分の家」や「自分の部屋」と回答しており、「大学の図書館」や「大学の自習室」は25%以下である。従来の回答と比べると、大学は授業を受ける場で、自分で勉強する場ではない、という傾向がコロナ禍で一層強まったようである。
社会学部や1・2年生の回答がやや多いが、それでも全学部・全学年から回答がなされている。初めてのオンラインでのアンケート調査としては、成功していると評価していいだろう。