どこが違う? 認定心理士と臨床心理士の違い

福祉業界お役立ちコラム

2016年5月16日
  • どこが違う? 認定心理士と臨床心理士の違い
  • 認定心理士と臨床心理士は、どちらも同じような資格とイメージされがちですが、資格の取得方法や社会的な役割も全く異なります。病院や福祉施設、学校で活躍する心理カウンセラーを目指すのであれば、より難易度の高い臨床心理士の資格取得を視野に学習を進めると良いでしょう。以下に、それぞれの資格内容や取得方法を紹介します。

  • 認定心理士・臨床心理士の違い

    認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が認定する民間資格です。認定心理士の資格を取得すれば、4年制大学で心理学の標準的な基礎知識および基礎技能を修得していることを証明できます。例えば、大学で心理学を重点的に学んできても、「教養学部」「人間科学科」などと、心理学という名称が使われない学部・学科を卒業しているがために、大学で何を学んできたのか不明確になりやすいという問題があります。その際、認定心理士の資格があれば、自分の得意分野を容易にアピールすることができます。また、心理学とは全く関係のない一般企業に就職した場合も、人事課や社内の心理相談を担当する部署への配属されるチャンスが得られるかもしれません。

    ただし、認定心理士の資格だけでは、心理学を専門に扱う職に就くのは難しいでしょう。病院や福祉施設、学校などで心理専門職として採用されるためには、臨床心理士の資格を取得していた方が断然有利となります。臨床心理士は、数ある心理系資格のなかでも最も信頼性・知名度の高い資格です。心理検査やカウンセリング技法を用い、心の問題を解決できるよう導くのはもちろんのこと、関係する医師や看護師、教師などの専門職に対しても、専門的な視点から助言を求められる場合もあります。

  • 認定心理士の資格取得方法

    認定心理士の資格は、4年制の大学で修得した心理学系の単位を日本心理学会に申請することで取得できます。大学卒業後だけではなく、大学卒業前の「仮認定申請」も可能です。申請の際は、日本心理学会が発行する「認定心理士資格申請の手引き」の内容を良く確認しながら、大学で学んだ科目が認定要件に含まれているかどうか、または必要単位数を満たしているかどうか確認するようにしましょう。

    臨床心理士の資格取得方法

    臨床心理士の資格は、公益財団法人・日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格審査(試験)に合格することで取得できます。受験資格は大変厳しく、最低でも協会が指定する大学院の全課程を修了していなければなりません。資格審査は、一次試験と二次試験で行われます。一次試験では、マークシート方式による多肢選択方式試験と小論文が出題されます。二次試験は、一次試験の多肢選択方式試験で一定の水準を達している受験者のみ受験できます。2名の面接委員により行われ、実際のカウンセリング場面で必要な基本的態度や知識を確認されます。

    心理学と関連の深い仕事に就きたい場合は、認定心理士の資格を取得してから、臨床心理士の資格取得を目指すことをおすすめします。心理学の基礎をしっかり身に付けておけば、大学院での学習も自信をもって取り組むことができるでしょう。