【第5回読書感想文コンクール】中学校・高等学校部門 最優秀賞 現実と夢の境界線―『不思議の国のアリス』

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2015年10月29日
現実と夢の境界線―『不思議の国のアリス』
浦和実業学園中学校(2年)ガオ カレン
  • この本は、ルイス・キャロルという外国人が書いた、世界中でもとても有名な作品です。

    ある日主人公のアリスがうさぎを追いかけて、穴に落ちてしまい不思議な国に行ってしまいます。そこで大きくなったり小さくなったり、動物たちと友達になったり様々な不思議な体験をします。しかし、目が覚め、夢を見ていたことにアリスは気がつきます。

    この本を読んで私は少し怖くなりました。結果的に不思議な国は夢でした、で終わってますが、もしかしたら本当の世界は夢の中ではないのかと考えてしまいました。

    私は小林泰三が書いた『アリス殺し』という本を読んだことがあります。夢の中(不思議の国)で殺人がおきると、現実(地球)でも同じように人が死んでしまう、というお話です。結果的に夢が本物で、私達が思っている現実はただのゲームのようなもの、となっています。つまり、私達のいう夢の中で誰かが死ぬと、地球でも誰かが死んでしまいます。そして、地球で殺したい人を夢の中で殺せば、地球で死んでしまいます。『アリス殺し』は、これを利用してかいた、ミステリー物語です。

    『不思議の国のアリス』も、『アリス殺し』も、アリスを主人公として、登場人物もほとんど同じですが、結果は180度違います。真反対といってもいいでしょう。

    だからこそ私は怖くなったのです。不思議の国のアリスだけを読めば「不思議だなぁ」ぐらいで終わりますが、その後にアリス殺しを読んでみたら鳥肌が立って恐怖心が芽生えてしまいました。正気を疑われるかもしれませんが「私って生きてるのかな?」とか「今この瞬間って実は夢ではないのか?」とたまに考えるようになりました。確かに「嘘だろ夢だよな?」と思う瞬間もありますし、「今の現実だったらよかった」と思うこともあります。しかし、それとはわけが違います。

    夢と現実の境界線って難しいですよね。答えのない問題を考えても堂々巡りをするだけで答えに辿り着くことはありません。

    この二冊の本は世界が広がったとどうじに、一生消えない恐怖の種が植えついた気がします。不思議の国のアリスは子供の時から読んできましたが、恐怖を感じて「もう読みたくない」と思ったのは始めてです。でも、大人になって読んだ時の感想も楽しみです。

    夢と現実、両方で頑張りたいと思います。