岩本裕子研究室

PROFESSOR HIROKO IWAMOTO'S OFFICE

【#01】映画『オデッセイ』から勇気をもらう!

Posted on 6月 14, 2016

”I got him!”

映画『オデッセイ』の話に戻りましょう。なんとも感激的なのは、クライマックスのマーク・ワトニー救出場面です。原作にはないそうですが、ヘルメス号の女性船長ルイスが救出に向かいます。火星探査宇宙船でありながら、水星を意味する「ヘルメス」(Hermes)と名付けるとは・・・。ヘルメスとは、ギリシャ神話に登場する旅や商売を司る神の名前で、水星の英語名でもあります。同じ神のことをローマ神話では、マーキュリー(Mercury)と呼びます。アメリカ合衆国の一人乗り宇宙船は、マーキュリーと名付けられていました。

さて、この女性船長ルイス役のジェシカ・チャステインのために作られた場面とも言われていますが、このクライマックス場面で、大いに感激して実は、かく言う筆者は久々に号泣してしまいました。宇宙空間でワトニー飛行士を捕まえるために、手に汗握る救出場面でした。ついにワトニーを捉えたときのルイス船長の”I got him!” の台詞は、今でも耳に残っています。思わず拍手したくなるほど、感激しました。

史入門の初講義では、女子大生たちに「女性として誇り高い、勇気をもらえる場面だったよ!」と説明したのでした。このジェシカ・チャステインという女優は、映画『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』(2012年)では、人種差別を受ける黒人女性家政婦に、好意的な態度を示す白人女性の役柄で、アカデミー賞助演女優賞候補となりました。また、翌年の『ゼロ・ダーク・サーティ』では、オサマ・ヴィン・ラディンを確保するCIA職員を演じて、主演女優賞候補にもなりました。役柄によって見事に演じ分けるこの女優は、ルイス船長を淡々と理性的に演じながらも、仲間を置き去りにしてきたことに悩む心の葛藤を演じていました。

DVD鑑賞では2Dなので不可能なのですが、この映画を劇場で4Dで観たという学生からは、「大砂嵐の場面では、砂のような臭いがしたり、霧の場面では霧を実感できた」ことを聞きました。映画も進化したものです。3Dの眼鏡をかけることが苦手な私は、2Dばかりを選んで観ています。

いつもは読書をしない人たちも・・・いつもは映画を見ない人たちも・・・

この映画紹介を読んで下さったみなさんが、映画『オデッセイ』を見て、ワトニー宇宙飛行士が一人残された火星で、ときに大地の遠方を眺めて、物思いにふける場面を見て、彼が何を考えているのか想像してほしいと思うのです。一年半という長い間、決してあきらめずたった一人で生き残る、その勇気と知恵を確認してほしいのです。

前述したネット情報検索で、次のような叙述を見つけました。「映画のエピローグはとても良かったですが、それでも原作の最後の一文のほうが私は感動しました。原作の最後の箇所だけでも読むことをおすすめします」と。

いつもは読書をしない人たちも、原作の最後の一文を読んでみてください。いつもは映画を見ない人たちも、映画を全部観てみましょう。あなたに「勇気」をくれることだけは間違いありません。心に栄養をくれ、心を元気にしてくれる、「さあ、私も頑張ろう!」と思わせてくれる映画『オデッセイ』を紹介しました。では、また次回!