映画コラム On YouTube No.007映画『34丁目の奇跡』とブラックフライデー #34丁目の奇跡 #ブラックフライデー #NewYorkKnicks #エディー勝利の天使
Posted on 11月 20, 2024
次に、第4木曜日は、アメリカの連邦祝日「サンクスギビング・デー(感謝祭)」です。この感謝祭翌日は「ブラックフライデー」と呼ばれ、この「ブラック」は「黒字」を意味します。つまり、感謝祭翌日から人々は、買い物に出かけるために、多くの店舗が大幅な売り上げを出して、黒字を達成できる日とされているのです。
ブラックフライデーという言葉は、アメリカで使われてきましたが、ここ数年、日本でも商戦の一環として注目されるようになりました。特に11月に入ると、デパートやスーパーの広告で「ブラックフライデー・セール」といった広告を目にするようになりました。消費を促進するセールが多く開催されます。なぜこの日が黒字になるのか、その背景や理由について、今日は少しお話ししたいと思います。とはいえ、アメリカでは直近の大統領選挙の余波がまだ収まっていなくて、その影響も無視できません。
まず、感謝祭についてお話しします。この祝祭の起源は、アメリカ合衆国建国以前、イギリスから新しい土地に植民を始めた頃に遡ります。1620年に「ピルグリム・ファーザーズ」と呼ばれる人々が、メイフラワー号に乗ってアメリカ大陸に到着しました。彼らは到着した地に、イギリスの地名の「プリマス」と名付けました。新しい土地での生活は非常に過酷で、最初の冬を越すのにも苦労しました。
その後、春になると彼らは種を蒔き、秋には収穫を迎えることができました。到着翌年、1621年の秋、最初の収穫を祝うために行われたお祭りが、感謝祭の始まりとされています。
「ピルグリム・ファーザーズ」は、この土地での農業や生活の方法についてほとんど知識がなかったので、周辺に住んでいた先住民たちから、農耕技術や生活の知恵を教わったのです。先住民の協力がなければ、彼らが収穫を得ることは難しかったのです。
このことを象徴するエピソードとして、1621年の感謝祭では、先住民たちをゲストとして招待した絵も残されていて、アメリカの最初の収穫祭がどのように行われたかを伝えています。
ホワイトハウスでは、食用の七面鳥を「恩赦」する恒例行事が行われ、毎年、その様子がニュースとして報じられます。感謝祭において七面鳥は、アメリカの伝統的な食卓の中心的な料理とされていて、この七面鳥の丸焼きには、クランベリーソースを添えるのが一般的です。このソースは、壊血病の予防効果があることで知られています。
さらに、感謝祭の食卓にはパンプキンパイ(かぼちゃのパイ)も欠かせません。七面鳥とクランベリーソースとともに、アメリカの家庭の食卓に並ぶ定番メニューです。こうした感謝祭の風景や、家族が集まる温かい場面を描いた映画を1本ご紹介します。
ニューヨークの34丁目には、巨大なデパート「メイシーズ」があります。このデパートは、「世界中で最も大きいデパート」という宣伝文句の通り、大きな売り場面積を誇っています。このメイシーズでは、感謝祭の翌日、ブラックフライデーから、多くの家族が買い物に訪れるのが恒例行事となっています。特に、「サンタさんからのプレゼントは何がいい?」という雰囲気の中、家族連れで賑わう光景が見られます。
メイシーズは毎年、感謝祭のパレードのスポンサーです。このパレードはブロードウェイの79丁目あたりから34丁目まで行われ、ニューヨークの感謝祭の象徴的なイベントです。こうした大規模なパレードを実施するには莫大な費用がかかります。実は、このメイシーズのパレードは映画にも登場しています。戦後2年目の1947年に公開された映画『34丁目の奇跡(Miracle on 34th Street)』では、メイシーズがスポンサーとして描かれています。ところが、1990年代にリメイクされた『34丁目の奇跡』では、メイシーズの業績が不調だったので、劇中では「コールズ」という架空のデパートの名前が使われました。
この長い長いパレードには、さまざまな人気キャラクターが登場します。日本のキャラクターからは、悟空やピカチュウが登場しました。このパレードで注目すべきは、長い行列の最後尾にいるサンタクロースです。サンタクロースは、パレードの締めくくりとして登場し、大きな注目を集めます。
34丁目のメイシーズに到着すると、デパート内の特設されたサンタクロースのお椅子に座り、次々とやってくる子どもたちの願いを聞く役割を果たします。子どもたちは「何が欲しい?」と尋ねられ、「ピカチュウが欲しい」や「悟空が欲しい」といった夢を話します。その声を聞いた親たちは、サンタと子どもの会話をそっと聞きながら、おもちゃ売り場に向かい、子どもたちが望むプレゼントを買い求めるのです。
ニューヨークの34丁目とブロードウェイの交差点から1ブロック上がったところに「マジソン・スクエア・ガーデン」があります。ニューヨークに行かれたことのある方なら、よくご存じでしょう。このマジソン・スクエア・ガーデンは、NBAチーム「ニューヨーク・ニックス」のホームグラウンドでもあります。ちなみに、「ニックス」という名称は、「ニッカボッカーズ(Knickerbockers)」の略です。
このチームをテーマにした映画もあります。その原題は『EDDIE』、日本では『エディ 勝利の天使』という邦題で公開されました。この映画では、ウーピー・ゴールドバーグが主演を務め、バスケットボールチームのコーチとして、傾きかけたチームを立て直していく物語が描かれています。
ハリウッド映画には、このような「ダメになりかけたものが立ち直る」というストーリーが多いですよね。このブロードウェイの34丁目、33丁目、31丁目あたりを訪れたことのある方は、その風景を思い出してみてください。あるいは、これからニューヨーク旅行を計画している方は、ぜひ34丁目のメイシーズに足を運んでみてください。デパートの入り口から入ると、広大な売り場を眺めながら歩き、次の出口を出た時には、もう隣の通りに出ていることに驚くかもしれません。それほど大きく、広いのです。すでにお話ししたように、メイシーズは、「世界で最も広いデパート」なのですから。
日本でも、ブラックフライデーに関連した広告やコマーシャルが増えています。デパートやスーパーでは、ここから始まるクリスマス商戦が本格化し、日本ではさらにお正月商戦へとつながります。クリスマスは、日本にはそれ程関係がないですが、この時期になると、私たちは自然とお正月の準備やおせち料理を思い浮かべるものです。もう年の瀬が近づいていますね。
今日も最後までお聞き下さり、ありがとうございました。
また次回、お耳にかかれるのを楽しみにしています。岩本裕子研究室「映画コラムon YouTube」第7回を終わります。ごめんくださいませ。