【NO.011】年始だから考える、来年。『アーサーズ・ウイスキー』#arthurswhisky #thebucketlist
Posted on 1月 21, 2025
皆様、こんにちは。岩本裕子です。埼玉県にある浦和大学で教員をしています。
「岩本裕子研究室 映画コラム ON YOUTUBE」というこの配信も、本日で11回目の収録です。年が明け、2025年になりました。しかも今日は1月20日、大寒です。
改めまして、皆様、あけましておめでとうございます。
昨年夏から始めたこのYOUTUBEですが、本年もどうぞお聴きくださいますようお願いいたします。今日は、新年最初の映画についてお話しします。久しぶりに新作を観てきました。公開翌日でした。
どこで観たかというと、都内・新宿にある「武蔵野館」という老舗の単館上映館です。シネコンが主流となっている今では珍しく、良質な映画を限られた観客に提供できる空間がある映画館です。その新宿武蔵野館で観てきたのですが、この映画を知ったのは、公開初日1月17日金曜日でした。
週刊英字新聞 ASAHI WEEKLY を購読している私は、毎週金曜日朝、家を出る際にカバンに入れて出勤し、通勤電車で読んでいます。その映画コラムで、『アーサーズ・ウイスキー』という映画が紹介されていました。タイトルを見たとき「何だろう?」と思いましたが、映画の簡単な説明を読んで「これは絶対に観に行こう」と決めました。実際に観てわかったのは、この作品がある映画を思い出させる内容だったことです。
『アーサーズ・ウイスキー』という映画を観て、2007年に同じような趣旨で作られた映画を観たことを思い出したのです。その映画の邦題は『最高の人生の見つけ方』で、日本公開されました。主演は、モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソン。二人の高齢男性が「死ぬまでにやりたいこと」をリストアップして、一つずつ実現していくという内容でした。
原題はThe Bucket Listでした。バケットとは「バケツ」のことですが、「バケツを蹴る」という表現で、「死」を意味します。つまり、「死ぬまでにやりたいことリスト」のことを指しています。
今回観た『アーサーズ・ウイスキー』の主人公は、3人の女性です。先ほどの男性二人と同じく、70歳を超えています。しかし、彼女たちは「年齢なんてただの数字」と言い切るほど、元気いっぱいのおばちゃまたちです。最初は内容がよくわからなかったのですが、観ていくうちに「やりたいことを実現していく」という展開で、2007年の『最高の人生の見つけ方』を思い出したのです。
この番組を聴いてくださっている方は、どのくらいの年齢層でしょうか。10代、20代、30代の方々は、まだ人生これからといったところでしょう。
生きている間にやりたいことを考える機会は少ないかもしれません。一方で、そろそろ先が見えてくる年齢になると、「これだけはやっておきたい」と思うことが出てくるものです。
今回、2つの映画を比較して思ったのは、男性たちは「若返りたい」とはあまり思わないようだということです。ただ「あれをやりたい、これをやりたい」と思い、最後にはスカイダイビングで空から飛びたいという目標を達成します。
『アーサーズ・ウイスキー』の女性たちも、最終的には二人がスカイダイビングに挑戦します。なぜ3人のうち2人だけが飛ぶのかは、ぜひ映画を観て確かめてください。そのシーンを観たとき、「これはまさに女性版のバケットリストだ」と確信しました。
このコラムをお聴きくださる皆さん、ご自分の1年後、5年後、10年後を思い描いたことはありますか?
30年以上大学教員をしている私ですが、毎年ゼミの学生たちからもらう年賀状の返事を、年始初ゼミで手渡しするのですが、最後の部分で、ずっとこう書いてきました。
「あなたの半年後、1年後、5年後、自分が何をしているか想像できますか? その時のために、今を一生懸命生きてください」と。
たった今、楽しくて仕方がない人は、それはそれで素晴らしいことですが、「楽しさ」だけで満足していませんか? 一方で、「苦しい」「つらい」と感じている人もいるでしょう。でも、あなたの辛いことは必ず、いづれ自分の力になります。楽しいことは楽しいだけですが、苦しいことは、自分を育てるエネルギーに変わるのです。
長く生きていると、過去の苦しかった経験こそが、今につながっていると気づきます。だからこそ、私の番組を聞いてくださる皆様には、たった今を、大切に生きてほしいのです。今が苦しく、つらい方々、それは、必ず、自分の力となり、道は拓けますので!この「拓く」は、「開拓の拓」ですよ!
ところで、先ほどの『最高の人生の見つけ方』の監督を説明します。 ロブ・ライナー監督です。彼の作品には、20世紀の名作『スタンド・バイ・ミー』があります。小学校6年生の男の子4人が中学生になる前に隣町へ歩いて旅をする映画です。
また、私が個人的に大好きなのは、When Harry Met Sarry 邦題は『恋人たちの予感』です。メグ・ライアンが主演し、とても素敵な作品です。
さらに、ロブ・ライナー監督の作品には『ゴースト・オブ・ミシシッピー』という映画もあります。これは、ミシシッピー州で1963年に起きた、公民権運動家暗殺を題材にした実話に基づく作品です。
さて、話を戻します。『アーサーウイスキー』の3人の女性は、なぜか「若返りたい」と強く思います。亡き夫・アーサーが作った若返りのウイスキーを飲んで、瞬時に若返るのです。その様子は、まるで名探偵コナンのようです。若返った彼女たちが楽しむ場面がいくつも描かれています。
「死ぬまでにやりたいことをしよう」という同じテーマの映画なのに、男性と女性とでは違いがあることを実感しました。都内にお住まいの方は、新宿武蔵野館へ、地方にお住まいの方も単館上映の映画館を見つけて、ぜひご覧ください。
10代、20代、30代の方々も、将来を考えるきっかけになるかもしれません。今悩んでいることも、50年後にはきっと大したことではなくなるでしょう。遠い未来には、元気な明日が待っていますよ!繰り返しますが、苦しいことこそ、エネルギーになるのです。
本日もお聴きくださり、ありがとうございました。
このあと続けて、第12回録音予定なので、今回はここまでといたします。次回、またお耳にかかれることを楽しみにしております。
今日もお聴きくださり、ありがとうございました。ごめん下さいませ!