9/11メモリアル訪問:こども学部 岩本裕子(ひろこ)
Posted on 9月 11, 2013
「グラウンド・ゼロ」に立って思うこと
今年8月は、「9/11メモリアル」を訪問しました。酷暑の日本と違って、毎日晴天で涼しい(華氏75度程度)ニューヨークでしたが、この日の午前中だけは雨が降りました。テロ攻撃の犠牲となった人々を追悼するための涙雨だったと思っています。
2001年9月11日朝、世界貿易センタービル(WTC)2棟、ペンタゴン(ワシントンDC郊外のヴァジニア州にある国防総省のビル)に旅客機が墜突し、さらにホワイトハウスをねらったものの乗客たちの勇気によってペンシルヴァニア州の野原に墜落したUnited 93 と、犠牲になった人々すべての名前が「9/11メモリアル」には刻まれています。WTCに救助に入った消防士の人たちの名前もあります。
あまり知られていませんが、1993年2月にもWTC地下駐車場がテロの被害に遭いました。このときの犠牲者の名前も、このメモリアルには刻まれています。この事実に衝撃を受けた映画人が、映画「マーシャル・ロー」を作りました。「歴史入門」の講義で、「なぜ自爆テロができるか?」をテーマにするとき、この映画の一部を8分ほど見せています。

ここに掲載した写真は、United 93の犠牲者の名前の部分です。日本人の大学生もこの飛行機に乗っていたので、この部分の右には彼の名前もありました。雨に濡れた白い花を見て下さい。犠牲者の誕生日の朝には、献花されるのだそうです。「私たちはあなたを忘れません」というメッセージでもあるのです。
メモリアルができたこの場所を、事件直後からアメリカ人たちは、「グラウンド・ゼロ」と名付けました。日本語では「爆心地」(原子爆弾が落ちた場所)の意味です。地球上で、ヒロシマとナガサキにしか使わない用語だと思って講義でも話していましたので、この呼び名はとても残念でした。

「9月11日」(September 11th)から12年が経ち、多くの映画の題材にもなりました。「歴史入門」の講義では、それらの映画を紹介しながら受講生と一緒に考え続けています。今年度は後期開講となった「歴史入門」で、学生たちと「9/11メモリアル」について、深く話し合いたいと思っています。