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読書感想文コンクール最優秀賞「非行少年 保護観察官の処遇現場からを読んで」

「読書を通じ、読解力や表現力を磨くとともに、基礎的な文章記述能力の向上をはかる」「図書に出会う場としての、図書・情報センターに親しみを持ってもらう」、この2つを趣旨・目的として、読書感想文コンクールを開催しています。

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非行少年 保護観察官の処遇現場からを読んで 総合福祉学部 関 幸一

福祉の役割というと、何を思い浮かべますか。高齢者施設、障害者施設、児童施設などの福祉施設で利用者の支援に携わること、社会福祉協議会の一員となり福祉の街づくりを進めていくこと、これまでそういった福祉の役割について浦和大学では学んできたと思います。

この本では保護観察官という普段生活をしている中では、あまり聞き慣れない福祉の仕事の内容を、実際に保護監察官として活躍していた著者が過去にあったケースをもとに、体験していた感情や当時考えていたことなどについて述べています。

保護観察官は、罪を犯した人や、非行のある少年が社会の中で自立できるよう、彼らを取り巻く地域の力を活かしながら、その再犯・再飛行の防止と社会復帰のための指導や助言を行う社会内処遇の専門家です。私が夏休みに臨んだ相談援助実習でも、地域の力を借りて利用者によりよい生活を送ってもらうということが念頭に置かれていました。インフォーマルな社会資源を活用し、相手の心に寄り添うという社会福祉特有の考え方の類似性に興味を持ち、この本を手に取ることにしました。

多くのケースと共に、少年が非行に走るまでの思想や、環境、面接の技法などを分析しながら考えていくのですが、その中でもJ君のエピソードが特に印象に残っているので、紹介したいと思います。

J君は、窃盗と傷害事件を起こして、少年鑑別所送致を経て保護観察に付された17歳の少年です。中学校を卒業する頃、非行傾向のある同級生S君がJ君に接近してきました。そのうちに、S君はJ君に金の無心をするようになります。客観的に見るとS君がJ君を金づるとして利用していたことは明らかです。しかし、J君はそのように考えなかったようで、家庭から金銭を持ち出しS君に渡すに至りました。咎めた家族に暴力を振るうこともあったそうです。度重なる金銭の持ち出しと暴力に耐えかねた家族はJ君に「もう親子ではない」と告げると彼は家出をし、S君のもとに赴きます。しかしS君からは「お前など相手にしていない」と冷たくあしらわれてしまい、パニックに陥ったJ君はその直後に本件非行である窃盗と傷害事件を起こし、身柄を拘束されました。被害者はJ君とは無関係の人です。

この事例だけを読むと、J君の感性に異常なものを感じると思います。ですが、実は彼には広汎性発達障害の疑いがあり、相手の言葉を率直に受け取ってしまうという傾向が非行をしていた原因の一つだと考えられるのです。

私はこの事例から、やってしまったことだけを見て主観的に悪と断じてしまうのではなく、そこに至るまでのプロセスを考えて相手のことを冷静に把握しながら、援助を行っていく必要性を感じました。これは保護観察官だけではなく全てのソーシャルワーカーに通じることではないでしょうか。将来、ソーシャルワーカーとして働く時にも、よりよい支援を行っていくために、しっかりとこの考えを持ち続けていきたいと思います。

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