本学学生の学修状況(2023年度)について
浦和大学IR委員会
浦和大学IR委員会
本学学生の学修状況(学修時間及び学修行動の実態)について、IR委員会は、2年ごと(2014年度、2016年度、2018年度)にアンケート調査を実施し、その結果を公表してきた。しかし2020年度は、コロナ禍のため対面での調査ができなかった。そこで前回(2021年度)は、学生がオンラインを使ったコミュニケーションに慣れたことを利用して、グーグルフォームでのアンケート調査を実施し、その結果を公表した。今回(2023年度)も前回と同様の調査方法であったが、コロナ後の最初の調査である。本学学生の学修状況はコロナ以前に戻ったのか、あるいはコロナ以降の変化が定着したのか、結果が出たので報告する。
今回の調査の実施概要は、以下の通りであった。
質問はこれまでと同じで全部で14問であった。内容は大きく「授業と密接な学修」に関する質問(問1~問9)と「それ以外の学修」に関する質問(問10~問14)に分かれる。まず、「授業と密接な学修」に関して、質問と回答を見ていく。
これは最も基本的な学修時間である授業時間についての質問である。回答の半数以上が週12コマ以上と回答している。これまでも本学学生は授業を受けることに積極的な姿勢をもっていたが、コロナ以降、受講科目数は増えている。
授業を受けるといっても、出席率が低いと問題である。それゆえ、これはいわば問1の充実度を問う質問である。90%近い学生が80%以上の出席率と回答している。本学は出席管理に厳しいとはいえ、また回答者は真面目な学生が多いとはいえ、今回も出席率は極めて高い。
この質問はもともと欠席の原因を探り、それを解消して出席率を高めようと意図したものである。今回多かったのは「その他」であるが、これは家庭や通学の諸事情ではないかと推測される。もちろん今回も「朝寝坊」という回答が多く、半数近くあった。これは青春期に特有の生活習慣に根差すものであって、変えるのは難しいかも知れない。
シラバスは授業の目標や計画を示したものであり、予習・復習のガイドになるものである。これを読んでおくことは授業を受ける前提となる。ところが、今回も50%以上の学生が「半分程度読んでいる」から「ほとんど読んでいない」をマークしている。まだまだ学生に対しシラバスの重要性を強調する必要があるといえる。
教科書を読むことが予習・復習の基本であり、授業の理解を高めるものであることは言うまでもない。以前から「すべて読んでいる」と「だいたい読んでいる」をマークした学生は合せて40%程度であったが、今回も同程度である。前回はオンライン授業で教科書を読む必要性が大きくなったせいか、数字は65%程度もあったが、元に戻ってきたようである。
これは前問とほぼ同じ質問であるが、ここでも数字は戻っている。前回は、オンライン授業なので参考文献を読む必要性を感じたのであろう、「すべて読んでいる」と「だいたい読んでいる」をマークした学生は半数以上あったが、今回は以前と同様30%に満たなかった。
〇小括:以上の回答結果をまとめると、本学学生はコロナ前よりも「授業にはよく出ている」とはいえるが、前よりも「授業の理解を深める努力をするようになった」とはいえない。
この質問の回答は上記の小括を裏づけるものである。すなわち、前回より「ほとんどの科目で予習・復習をしている」と「だいたいの科目で予習・復習をしている」をマークした学生は合わせて5%程度減っており、逆に「あまり予習・復習をしていない」と「ほとんどの科目で予習・復習をしていない」と回答した学生が15%程度増えている。前回は先生の話を聞くだけでなく「理解する努力もしている」といえたが、今回は以前のように、本学学生の多くは「授業に出て、先生の話を聞いて、済み」に戻ったようである。
これは最近の学生の勉強方法を尋ねる質問である。最初の調査では50%程度の学生が「インターネットの情報」を挙げていたが、この割合は次第に増加傾向にあった。今回も80%以上の学生が「インタイーネットの情報」を挙げている。課題を仕上げるのに、図書館で文献を探すという方法は、インターネットで情報を検索するという方法に、確実に取って代わられている。
授業でよく分からないと思った時や授業の内容をもっと勉強したいと思った時、オフィスアワーを利用することは効果的である。しかし、徐々に改善しているとはいえ、今回も70%程度の学生がオフィスアワーの利用は「1~2回」ないし「ゼロ回」と回答している。ただ、本学は教員に学生への個人面談を義務付けているので、これは教員の研究室を訪ねていないということではない。それにしても、コロナ後も、授業について質問に行かないという傾向は続いているといえる。
これもオフィスアワーを利用しない原因を探り、その解消によってオフィスアワーの利用を促そうという意図をもった質問である。今回も50%程度の学生が「オフィスアワーをよく知らないので」と回答していて、圧倒的に多い割合である。高校にオフィスアワーがないせいかも知れないが、オフィスアワーのことを今後一層説明するか、あるいはインターネットなどを使った質問時間に変えるか、いずれにせよ改善が必要な数字である。
次に、調査の後半部分、つまり「授業以外の学修」に関して、質問と回答を報告する。
今回「ほとんどしない」と回答した学生は30%程度で、前回より20%程度増加している。逆に「3~5時間」ないし「5~7時間」と回答した学生は30%程度で、30%ほど減っている。従来多くの学生は1日1時間も勉強していなかったが、今回も同じになった。前回は多くの学生が1日1時間は勉強しており、コロナ禍の良効果というべき数字だったが、これを習慣として根付かせることは難しかったことになる。
今回は40%程度が「2時間ないし3時間程度」と回答しており、15%程度が「4時間ないし5時間以上」と答えている。数字は前回よりも10%~15%ほど落ちており、ここでも勉強する熱意が、コロナ禍の中より低下していることが分かる。
これまで通り85%程度の学生が「1~2時間程度」ないし「ほとんどしない」と回答している。しかし、これもこれまでと同様、「7~8時間」以上と回答した学生が10%程度いる。少数であるが、目的意識を持って学修している学生は、コロナ禍の影響を受けずに、確かにいるのである。
50%程度が「自分の家」や「自分の部屋」と回答しており、前回より10%程度減っている。逆に「大学の図書館」や「大学の自習室」は20%程度で若干増えている。従来の回答と比べると、大学は授業を受ける場で、自分で勉強する場ではない、というコロナ禍で加速した傾向に、ある程度の歯止めがかかったようである。
これは補足質問である。こども学部の1年生の回答がやや多いが、それでも全学部・全学年から回答がなされている。オンラインでのアンケート調査としては、成功していると評価していいだろう。