2022年浦和大学図書・情報センター「第11回読書感想文コンクール」最優秀賞「『明日も必ず晴れますように』を読んで」

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2022年12月8日
  • 最優秀賞「『明日も必ず晴れますように』を読んで」こども学部 1年 竹内晶子

    中島佐知子/宗田 理『明日も必ず晴れますように』角川書店、1998年

    この書籍は、著者、宗田理の愛読者の少女と作家本人とのメールのやりとりをもとにした話からなるドキュメンタリーです。この小説の冒頭は「人には、さまざまな出会いがある。その多くは、すれ違う列車の乗客みたいに、何の印象もなく、そのまま過ぎ去り、再び思い出すこともない。その人と出会うことがなかったら、人生は別のものになっていたかもしれない。そんな出会いもある。」という文から始まります。人生はこの本のように病気や結婚仕事や事故事件などいつ自分に好機が訪れるか、はたまたその逆かなど先が分からず、運命とは、とても面白く恐ろしいものだと私は考えます。

    まず読み進めていくうちに、白血病の怖さを感じました。薬の副作用による、体重増加。頭髪の脱毛。当時「佐知子さん」は学生だったため、闘病生活のほかにも授業に後れを足らないように勉強など付きまとう悩みが多かったと書いてありこれだけでも病気に負けない心を感じました。物語は、宗田 理「ぼくら」シリーズの愛読者だった彼女が、投稿紙「ぼくらの新聞」で病気を打ち明けると、一〇〇〇通を超える激励の手紙が全国から寄せられる話へと進んでいきます。それらの手紙はただの文字ではなく佐知子さんに対する、励ましや優しさ、力を載せて届けられたと考えます。 そこから闘病生活は続き、また文通友達との会話が盛り上がりなど日常での楽しさもありながら、そして「ファッションコンテスト」入選など月日は流れました。しかし病魔と戦ってきたが頑張ったが佐知子さんは亡くなってしまいました。宗田 理さんは彼女のことを「壮絶な戦士だったのだ」と言っています。

    「戦士」という言葉に佐知子さんの努力、闘病生活のすべてが込められているのではないかと考えました。

    一人の病める友のために、一〇〇〇人を超す人たちが励ましの言葉をよこすのは奇跡ではなく人の思いが皆を繋げてくれたのではないかと考えます。手紙は彼女に生きる力を与え、生きるために何が大切かを教える。家族、恋人、担当医、宗田先生そして文通友達、たくさんの愛に包まれた真実の記録です。私は、簡単に人を殺してしまう、自分の命を絶ってしまう現代の世の中で、必死で生きようとしている人がいるということをもっと理解されないといけないと考えます。そして誰かの支えになる人生を歩みたいと感じました。