2018年度 第8回読書感想文コンクール講評

その他

2018年10月29日
【講評】図書・情報センター長 岩本裕子
  • 2018年度第8回読書感想文コンクール大学・短大部門には総数15作品が寄せられ、最優秀・優秀賞に加えて、佳作2点の4作品が表彰されました。また、併設校(浦和実業学園中学校、高等学校)の中・高校生部門には応募総数9作品があり、図書・紀要委員会で厳正に審査した結果、3作品が入賞作品と決まりました。

    2018年10月7日の学園祭閉会式に合わせて入選作表彰式を行い、4人の学生(大学3名、短大1名)を表彰することができました。中学校・高等学校部門では、3人共に中学1年生でしたが、昨年同様この日は英語検定と重なったため参加して頂けず、大変残念でした。後日改めて、中学校で表彰式が行われたということです。おめでとうございました!

    第3回「この本いいよ!」コンテストでは、本学教職員、本学学生ばかりか、しらさぎ祭を訪れてくださった学生の保護者の方々、高校生、地元の方々が、記名投票してくださいました。投票総数は137票でした。ありがとうございました。

    学園祭閉会式前の表彰式では、第3回「この本いいよ!」コンテストの受賞作と得票数のみ口頭発表されました。10月18日に、浦和大学図書館で第3回「この本いいよ!」コンテストの表彰式を行い、図書・紀要委員の先生方も列席し、コンテスト上位3位に入った3人を表彰することができました。写真はそのときの様子です。

    第8回読書感想文コンクール最優秀賞はネット上に全文が公表されていますので、ご一読ください。あとの3作品は、受賞者の了解を得て3作品ともに、図書館内に展示されています。ぜひ、図書館を訪ねて展示入選作品をお読みください。

    本学学生のみなさんが、一日一度は図書館を訪れて、蔵書を手に取ってくださることに期待しています。来年度も行われる図書館行事(感想文コンクール、「この本いいよ!」コンテストなど)にも多くの学生が参加してくれますように!

浦和大学第8回読書感想文コンクール(中学校・高等学校部門)図書・紀要委員会による講評
  • 最優秀賞『オセロー』 遠藤 奏琴 浦和実業学園中学校

    シェイクスピアの古典に初めて出会ったという筆者は、『オセロー』を通して、人間の本質である嫉妬心や劣等感について深く考え、自らを省みる機会としている。人間の枠にはまりきれない感情や行動を、興味と等身大の把握によってうけとめる感覚を持っているようである。年齢にふさわしい解釈ができていることが高い評価に値した。

    優秀賞『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 吉田 美咲 浦和実業学園中学校

    感想文タイトルを「思いやりの気持ち」としていたが、思いやりの気持ちを学習した様子が、説得力ある文章で語られている点が評価できた。ナミヤ雑貨店の主人に尊敬と憧れの念を持っている筆者は、思春期の不安な時期に、この主人公のような人に会いたいと思う気持ちはよく理解できる。審査を務めた図書・紀要委員の一人は、若い頃に聞いたラジオ深夜放送の人生相談コーナーを思い出したという。

    佳作『気まぐれロボット』 小倉 羽琉 浦和実業学園中学校

    星新一のショートショートを読んで奇想天外の発想に驚き、感動している様子がよくわかる。さらに筆者は、それらの作品についてまじめに考えて、向き合っているところに、好感が持てた。明解な文で分かりやすく説得力がある。

浦和大学第8回読書感想文コンクール(大学部門)図書・紀要委員会による講評
  • 最優秀賞『星の王子さま』こども学部3年 関根 彩花 

    この作品を通して、「他と比較して1位である存在よりも、他にない独自の存在にこそ価値がある」という価値観に気づいたことに、人間としての成長が見られる。小説の雰囲気がよく伝わるものの、簡潔すぎる傾向はあるが「星の王子さま」の解釈を平板にしていないところは注目できる。少々大人びた文章で、本当に本人が書いたのか疑ってしまうほどで、見事だった。

    優秀賞『ヘルプマン!』こども学部2年 飯村 世界

    非常によくまとまった文章で、読みやすく評価できる。本の内容とそれによって想起された自身の過去などが織り混ざり、「本人の読書体験」をよく表現している。

    佳作『自閉症とコミュニケーション 心とことば』短期大学部介護福祉科1年 関根香

    「自閉症」を身近なこととしている筆者のようだが、筆者自身の葛藤を見せずに、冷静に対象書籍をとらえて、自分を見つめているように読みとれた。読んで知った客観的な内容をよくまとめていたが、感想部分が少ないのは残念だった。

    佳作『『くまのプーさん』を英語で読み直す』こども学部3年 宮川 友里恵

    感想文そのものがなかなか面白く、読みながら楽しめた。「プーさん」に関する自分が持つ知識や情報を、読書によって深めている様子に好感を持てる作品である。