【第8回読書感想文コンクール】最優秀賞『星の王子さま』を読んで

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2018年10月29日
『星の王子さま』を読んで
こども学部こども学科・関根彩花
  • 「かんじんなことは、目には見えない」これは有名な言葉であり、話の中のとあるきつねの秘密の言葉である。自分の星を愛し、自分の小惑星の火山とバラの花を愛おしく、特別に思っていた王子は旅をしている間に、自分の星の山より高い山、自分の星のバラよりたくさんのバラを見つけ、自分の愛した小惑星や火山やバラはありふれた、つまらないものであったのかと思い、自分はえらい王さまにはなれないと王子は泣いてしまうのだ。

    そこへきつねが現れ、「ぼくと遊ばないかい」と言う王子に対し、「仲良くならないと遊べない」と言うのだっだ。仲良くなるというのは、同じものでもたくさん時間をかけ可愛がること、たった一人の存在となること、つまり飼いならすことだときつねは言った。この言葉で王子は自分が愛し精一杯育てたバラはたった一つしかないかけがえのないものだと気がついたのだ。そして王子はきつねと別れるときになり、自分がきつねと「仲良く」なっていたことに気付いた。別れの悲しさを前に「仲良くなんかならなければ良かった」と思う王子に、「黄色く色づく麦畑を見て、王子の美しい金髪を思い出せるなら、仲良くなった事は決して無駄なこと、悪い事ではなかった」ときつねは答えた。そして別れ際、王子はきつねに秘密を教えられるのだ。

  • こども学部こども学科・関根彩花さん
  • この本はとても難しいと思った。この本は本当のことしか知りたがらない王子さまの話。この話に出てくるのは叶う命令しかいない王、うぬぼれ男、忙しい実業屋、忙しく働く点灯婦などであり、どれも6歳の僕からの視線で描かれている。そして彼らには、僕には理解しがたい大人の在り方が描かれており、そのどれもに大人なりの解釈をつけているのではないかと考えた。大人たちは物事に全て理由をつけようとする。私も同じなのではないだろうか。

    この本の冒頭で、作者であるサン=テクジュペリは「おとなはだれも初めはこどもだった。しかし、その事を忘れずにいるおとなはそう多くない」と言っている。この本を通して作者はそんな大人たちに子どもの気持ちを思い出してほしいのではないだろうか。私たちは大人になるにつれ、たくさんのことを覚え、知らなくても良いことを身に付けていく。そして、王子さまのような本当のことを知りたがる純粋な気持ちはどこかに消えてしまうのだ。しかしこの「星の王子さま」を読むことで、私たちが失ってしまった気持ちを思い出すことができるのではないだろうか。