2011年度 浦和大学・浦和大学短期大学部 入学式式辞

新入生・ご家族の皆さまへ

最初に、この度の未曾有の東北地方太平洋沖地震に加え、福島第一原子力発電所の大事故が重なり、多くの人々が被災され、今なお避難所生活を強いられています。本学においても、被災地域出身の在学生や新入生が30名います。入学式を挙行するにあたり、ここにいる皆様とともに、被災地域出身の学生諸君が一日も早く安心して勉学できますこと、そして、被災地域の方々の健康と復興支援活動が行き届きますことをお祈りするとともに心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。

新入生の皆さん、また、ご列席のご家族の皆さま、ご入学おめでとうございます。私ども浦和大学の教職員は、在学生とともに、皆さんのご入学をお祝いし、心から歓迎いたします。また、本日の入学式には、九里学園後援会会長の松永光様をはじめとして、多数のご来賓の皆様にご臨席を賜りました。厚くお礼を申し上げます。

さて、本日の入学式にあたり、新入生の皆さんに対して私は三つのことを申し上げたいと思います。

一つ目は、私たちの学園の歴史と建学の精神を知っていただきたいということです。本学園の歴史は、昭和21年、すなわち西暦1946年に、故九里總一郎先生が、珠算・簿記・英語の指導を行う私塾を創設したことに始まります。その後、専門学校をへて、浦和実業学園高等学校を設置し、1987年には、緑豊かなこの地、さいたま市緑区大崎に浦和短期大学を開設しました。従って、現在の浦和大学短期大学部は、既に25年の歴史を有していることになります。

そして、2003年には4年制大学として総合福祉学部を設置し、その4年後にこども学部が開設されました。このように、私たちの学園は、大学としてはまだ新しく、歴史は浅いのですが、九里学園としては65年という長い伝統を誇っています。

創設者である九里總一郎先生は、学園の創設に当たり、敗戦直後という当時の時代風潮を踏まえ、「国の復興にすぐに役立つ人材の育成をしたい。そのような学校をつくりたい」という志を込めて、「実学に勤め徳を養う」という校訓を定めました。校訓とは、いうまでもなく〈建学の精神〉に他なりません。以来、今日までの長きにわたって、この言葉は大切に伝えられてきています。

それでは、「実学に勤め徳を養う」という言葉の意味を説明しましょう。皆さんには、オリエンテーションの時に、スチューデントハンドブックという冊子が配布されますが、その中には次のように書かれています。《「実学に勤め徳を養う」は、福沢諭吉先生の『学問のすすめ』の中の言葉に由来する。実業に役立つ学問から、この世で実際に役立つ学問、または役に立つ人間になること、更には世の中の進展に対応できる人間になることが実学教育の基本であり、目的である。》このように書かれています。大学を卒業した後の皆さんに対して社会が求めるのは、答えの分かった単純な問題を短時間にたくさん解くことではありません。未経験の複雑な課題に直面したとき、自ら解決し実行する能力であり、それこそがまさに「実学」の精神なのです。

また、「徳を養う」とは、幅広い知識に基づいた豊かな人間性を身につけることであります。皆さんが大学に入学するにあたって、自分の専門として選択したものを、ここで今一度、思い起こしてください。一人ひとり学部学科は異なりますが、そこに共通して求められているのは、対象が高齢者であろうと、幼児であろうと、つまるところは「人」との関わりであります。

したがって、「人」とどのように関わり、どのようにコミュニケーションをとれば良いのか、そういう時の「心の持ちよう」はどうあれば良いのか、ということがとても重要な課題となります。それには、挨拶することからはじまり、思いやりの心、感謝の心、奉仕の心、マナーを守る心などを自ら育むことを通して、豊かな人間性を形成することが大切となります。これが「徳を養う」ということに他なりません。本学の正面に設置してある校訓碑に、「何を知っているかではなく、何ができるか。世のため人のために自己を生かしきる」と記されていますが、この言葉は本学園のめざす教育の理念を端的に表現しています。今日の入学式にあたって、改めて本学園の建学の精神を理解し、それに基づく実践力・行動力を身につけていただきたいと思います。

私が申しあげたいことの二つ目は、皆さんが学生生活を送るにあたっての大切な心構えについてです。

皆さんは、将来、福祉、介護、保育、幼児教育の分野で活躍することを目標として、本学に入学されたことと思いますが、これから始まる4年間または2年間、何よりも勉学をするために大学に入学したという自覚を強く持っていただきたいということです。

学生生活はいよいよ本日からスタートするわけですが、最初の1ヶ月は新しいことの連続で戸惑うことや不安を覚えることもあることでしょう。しかしながら、先生方や事務職員は皆さんが本学の教育に早く順応できるよう、様々な教育上の支援を行います。何事であれ、先生方に積極的に相談をして下さい。大学での勉学で重要なことは、「覚える」ことから「考える」ことへと、学びの重点を移行することであります。

大学は、教師から学生への一方向的な、いわゆる教室における講義を受けるだけの場ではありません。広く社会の現実に目を向けて、自主的に自分で考え、必要な知識や方法を自ら求めていくことが問われます。演習や実習など通して、物事に具体的に接して体験を深めること、さらには参考資料を自ら調べたりすることなど、大学の勉強は高校の勉強と多くの点で異なっています。
皆さんが高校時代の勉強の仕方から脱却して、自ら考える勉学態度と実践力を一日でも早く身に付けることを期待しています。皆さんは、これからの勉学の過程で、疑問に思うことや理解できないことなどが当然起こってくるはずですが、そういうときは遠慮なく積極的に先生方に質問するようにしてください。皆さんの様々な質問は、先生方にとっても授業方法の改善に役立ちますし、また、質疑応答は授業を活性化し、他の学生にとっても大変良い勉強になります。先生方は、学生からの質問には喜んで対応してくれるはずです。

私が申しあげたいことの三つ目は、サークル活動、学友会活動、ボランティア活動に積極的に参加し、幅広くいろいろな人と付き合ってほしいということです。大学生活を有意義なものにするためには、当然ながら勉学を充実させることが第一ですが、皆さんはいずれ社会に出て、多様な文化圏の中で多様な階層の人々と広くつきあうことになります。皆さんは、そのような人たちから、専門的な能力だけではなく、自らの人間性についても信頼を得る必要に迫られるはずです。

そのためには、サークル活動、学友会活動、ボランティア活動への参加が大きな糧になります。そうした活動を通して、コミュニケーション能力を高め、人間としての幅と厚みを増していただきたいと思います。

本学は、小規模ではありますが、いわゆるマンモス大学とは違い、一人ひとりの学生と教員との関係はとても親密なものがあります。また、緑に囲まれた静かな学習環境も用意されています。
どうぞ、4年間または2年間の学生生活を伸び伸びと過ごしてください。皆さんのこれからの本学での生活が、意義深く、そして充実したものなることを祈念して、私の式辞といたします。

2011年4月2日 浦和大学・浦和大学短期大学部
学長 大内誠

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