《総合福祉学部》エッセンシャルスタディ・がん体験者による講演

6月29日(火)、総合福祉学部のエッセンシャルスタディという授業に「がん」を経験した方々が講師として来てくださるということで様子をうかがってきました。講師は楠章子さん、荒井義文さん、新城和子さんの3名の方々です。実は、新城さんは昨年もエッセンシャルスタディの講師として来校されており、学生たちに貴重なお話を聞かせてくださいました。

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がんを経験した方々による講演

新城さん達はリレーフォーライフ(以後RFL)という、がんを経験した方々(サバイバー)のイベントの実行委員を務められています。

楠 章子さん

最初にお話していただいたのは楠章子さんです。楠さんは乳がんを経験されました。ある日お風呂で胸にかゆみ・しこりを感じて病院に行かれました。お医者さんには何の前触れもためらいもなく「楠さんはガンです」と言われ驚かれたそうです。がんを告げられた場所が待合室の近くだったため、待合室にいる人々に注目され、がんの宣告よりもそちらの方に大きなショックを受けられたそうです。次に訪れた試練は家族への報告で、家族にあまり深刻になられたり落ち込まれたりするのがとても嫌だったそうです。旦那さんには、その日のうちにすんなりと言えたのですが、成人しているとは言え、子ども達にはたいへん言いづらかったとのことでした。

午前中にがんの告知をされたあと、午後にはいつも通り仕事に向かわれ治療のため半年間のお休みをいただいたそうです。楠さんが手術を受けるにあたって、いろいろな準備が必要でした。本屋でたくさんの本を読み、音楽プレイヤーを購入して好きな曲を入れ、入院中に着るパジャマを選ぶことなどを楽しみ、また、パソコンでがんのこと、病院のことなどをインターネットで詳しく調べることに熱中されたそうです。そんな中、日本で初めての「つくば」でのRFLのことを知り、がんを患いながらも微笑みながら参加している人々に元気をもらい、いつかは自分もあの場に立ちたい、と思われたそうです。そして実際にRFLの実行委員会に顔を出してみたところ、いつの間にか実行委員になってしまっていたそうです。

私生活では、今まで”石橋を叩いて渡るような人生”を送ってきたけれど、これからは色々なことに挑戦していきたいと仰いました。手始めに以前から憧れていたサックスを始め、楽団に入り、昨年のRFLのステージでも演奏者として参加されました。

荒井義文さん

続いて荒井さんにお話しいただきました。荒井さんは一昨年、下咽頭がんを経験されました。診断してもらった病院では手術ができないということで東京へ行き手術を受けられました。手術では声帯などを摘出したため声が出せなくなりましたが、その後インターネットでいろいろと調べた結果、ヨーロッパでは同様の手術をしても言葉を発することができるらしいという情報に辿り着きました。それを基にさらに詳しく調べていき、大学病院で手術を受けたらついに声が出せるようになったそうです。

世の中には、下咽頭がんの手術を受け、もう喋ることができないと思っている人々が何百人といるそうです。なぜなら荒井さんの受けたような手術があることが日本ではあまり知られていないからです。日本では世界中で使われている薬品や機器が使えません。(ドラッグラグ・医療機器ラグといいます)日本でもそういった技術や知識が進んでいけば、がんも克服しやすくなるでしょうと語られました。

荒井さんには2つの夢があるそうです。1つめは泳ぐこと。喉に穴があいている方はプールなどに入ることができません。しかしヨーロッパでは泳いでいる人々がいます。国外では、喉に穴のあいている人々専用のシュノーケルがすでに開発されているのだそうです。荒井さんはそれを取り寄せて泳ごうと考えているのですが、国内ではまだまだ知られておらず入手が困難なのだそうです。2つめは新井さんのような境遇の方に、1人でも多くの人にこういった情報を得る場を設けてほしいということ。埼玉県内で荒井さんのように声を出せている方は10人にも満たないので、もしそういった方に出会ったら是非教えてあげてほしい。諦めるのではなく一生懸命色々なことを調べて挑戦してほしい。また、そういった方々のためにも”日本人で初めて咽頭摘出者が泳げた”という実例になりたいと語られました。

新城和子さん

最後に、新城和子さんにお話しいただきました。はじめに昨年のRFLにボランティアとして参加した学生たちへ感謝の言葉をいただきました。また、学生がたくさん参加したため他県のRFLとは違う活気があったと仰っていました。

新城さんは2006年に甲状腺がんを経験されました。最初、足に痛みを感じ、たまたまテレビでやっていた神経の痛みだろうと思っていたそうですが、痛みがとれないので病院へ行かれました。そこでCTやMRIによる検査を受けたところ真っ黒なものが写っていてたいへん驚かれたそうです。しかしどの検査をしても癌という診断がされず、2週間後にようやく甲状腺がんであると診断されました。そして、その患部にはとても太い血管が通っており、手術のときにその血管に少しでも傷がついたら大出血を起こす可能性があったそうです。8時間におよぶ手術は成功し痛みはやわらぎましたが、薬を一気にやめたために倦怠感やこのまま寝たら目が覚めないのではないかという強迫観念に襲われるようになったそうです。しかしそれも外泊などのリハビリで緩和していったそうです。

そんな生活のなかで、ある日ご主人のお友達がRFLのDVDを持ってきてくれて、新城さんはそれを一気に観てRFLに参加してみたいと思いました。映像のなかの生き生きとした人々をみて生きる力をもらい、くよくよしているご自身が恥ずかしく思えて、それ以降RFLに夢中で取り組んだそうです。また、RFLの良いところは、イベントで毎回同じ境遇の方々とお会いできることで、皆が元気だと自分が元気に、自分が元気だと皆が元気になるところだと語られました。

講演の最後に、ちょうどその日の朝、「唾液で膵臓がんと乳がんが発見できる」というニュースがやっていたことに触れ、日進月歩、がん医療は進んでいること、がんについて詳しく知りたいときは国立がんセンターのホームページが便利ということ、またRFLに寄せられた支援金はがん無料相談窓口や若手医師の指導のために使われていることなど教えてくださいました。


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