第5号【column】「浦短人語」

介護福祉科学科長によるコラムです。

個人や組織が、其々の利益だけを追求していくと、社会全体が危うくなることは、地球温暖化による世界規模での異常気象がそれを示しています。しかし、社会を構成する人々が、互いを信頼するならば、少ない費用で、豊かな社会を維持できる可能性が見えてきます。

人々の織りなすネットワーク等からなるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が、この20年間、世界中で取り上げられ、議論されてきました。福祉においても、政府か、個人かという選択だけではなく、公助と自助の間に共助を考えることで、柔軟な支援を生み出すことが可能です。

日本が集団主義的であるのに対して、アメリカは、個人主義の典型的な国と言われます。そのアメリカ社会でも、人々が集まって活動していましたが、第2次大戦後、その活動が衰退したことをアメリカの社会学者パットナムが、『Bowling Alone』(邦題『孤独なボウリング 副題:米国コミュニィティの崩壊と再生』)で発表し、世界的に大きな影響を与えました。

日本では、大震災の際に、人々が冷静に対応し助け合いました。『絆』という名のソーシャル・キャピタルが日本では豊富であるといえます。しかし、日本社会における個人間や地域間の経済的な格差を考えると、絆を支える基盤は揺らいでいます。人々が互いを信頼し、助け合う社会に導くために、社会の方向性を基本的なところから議論し直すべき時が来ています。

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